蓬莱もみじ幼稚園からも御礼のメッセージをいただきました
蓬莱もみじ幼稚園の山森園長からも、御礼のメッセージをいただきました。
震災からもうすぐ2年。子どもたちも保護者の皆様も、先生方も大変な2年だったと思います。
その中でも、何とか子どもたちに笑顔を取り戻させてあげたい。
その思いで、取り組んでこられた皆様に敬意を表します。
以下、御礼のメッセージです。
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拝啓
ご清祥の段 お慶び申し上げます。
東日本大震災に伴う放射能飛散の節には心暖まるエールを頂きまして誠にありがとうございました。重ねて厚くお礼申し上げます。
職員一同、たくさんの方々のおもいに心を強く持ちながら現在も戦い続けて居ります。
間もなく24ヶ月です。改善されない苦悩が続いておりますが感謝を込めて節目のご報告を申し上げます。
振り返りますと記録日誌ではすでに例年より地震が頻発しており、海洋の異常(クジラの打ち上げやクラゲの異常発生)や川魚の異常行動に原発事故の放射能漏れを正しい根拠なしに心配しておりました。それぞれのニュースにそれぞれの専門家や報道ではそれぞれの理由づけをおこなっており、とりたて大事件に結びつくことのない様子でした。しかし、大参事が起きました。震度・津波が想定外だったと報じられました。しかし、しかし一般市民は予測しておりました。大参事が起きました!
当園は福島市の南側に位置した小高い丘の上の住宅地です。福島市は盆地です。原発からは50㎞に位置しておりますが、風向きで放射能が色々な所に飛散しました。
TVやニュースでご存知のとおり、人命第一の避難が優先されませんでした。その事もあって県民ばかりかあらゆる処に影響が出ました。
正しい情報に乏しい不安は情緒を不安定にしました。放射能について、現状について、国や医師が様々な、まったく異なる説明や講演を行いました。政府寄りだったり、一時しのぎ的だったり、講師自身の個人の見解にかたよりすぎる感じがありました。専門科や政府、マスコミの安全と称する数字も疑心暗鬼でした。
何を信じて、何をどう対処すれば良いのか呆然と致しました。
園児は緊急休園。職員は一人ひとりの安全確認にスクールバスで訪問しました。停電しました。断水しました。かき集められるかぎりの物資を持って笑顔を届けに歩きました。
○放射能測定機を手配し、高圧洗浄機を急ぎ購入して園舎や囲りの歩道・街路樹の除染活動。周辺側溝の汚泥揚げ。
○園庭の樹木・早花も根こそぎ削り取り開園からの記念樹〈もみじの木〉も無残に一掃。仮の置場として自園庭の中央に埋設。(市の指示による。移動は未定)
○運動会は2年連続、線量の低い他の地域の体育館で実行。
○夏祭りは今年になってみこしだけを15分程度園庭で実行。
○水遊びは園舎と民間の有料屋内プールを利用。
○ジャガイモ畑は今も放置。(ジャガイモ・トマト・枝豆等は園舎内でプランター栽培)
○交通指導や園外保育も自粛。
○余震での放射能もれや不安定な放射線量で現在も外遊びは範囲や時間の制限あり。
○雪遊びは園庭の傾斜で、風なく、雪積多く、線量の低い数日にソリすべり実行。
○子ども達は極度な園児減少で少人数での遊びが増加。コミュニケーション不足や遊びの片寄りにより様々な工夫が必要。
○職員も本来の保育と保育環境の設定に力を注げず。役割り不負も増加。
○市の水道水は県が週に1回測定して公表をはじめて約1年、常に根拠の定かではない「1ベクレル未満なので問題はない」と言い続けるのみ。
○ようやく国の動きで食物測定が身近で行われて来たが、その数値に対する根拠は何処に。
○前例の示されない内部・外部の総合被ばくを抑える必要を痛感する毎日。
○地域の未就園児に園舎を開放。何より、心から信じられる事の少ない今は、ひとつでも多くの愛が皆に勇気を与え、立ち戦い続けさせていると感じます。
私達はこれからも子ども達が子どもの時にきり出来ない、子どもらしい生活を体一杯、心一杯に重ねられます様に努力致します。
改めまして、皆様の暖かいエールに敬意と感謝を申し上げます。ありがとうございました。
蓬莱もみじ幼稚園 園長 山森 文